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(2)共通の第三者サ−ビス提供者の利用を巡る問題
取引当事者が共通の(同一の)第三者サ−ビス提供者を利用するという事例は、容易に想定できる。
このような場合に、共通の第三者サ−ビス提供者の行為に起因して損害賠償請求の問題が生じたとき、各当事者は共同してその責めに任じることになるのか、または、損害を被った当事者の一方のみがそのリスクを負担することになるのか。もしくは、プロバイダ−そのものに責任がないと認められるときは、各当事者がそれぞれ被った損失を負担することになるのかという問題がある。
これに代わる解決法として、諸外国に協定書においては、メッセ−ジ伝送に係わるエラ−に起因するリスクは、メッセ−ジの発信者に負わせている規定例(「米国の協定書」第1.2.3 条ただし書参照。)も見受けられる。
EDI取引に係る業務処理の実態からみて、果して、どのような解決法が最も適切であるのかということも問題となる。

 

《参考》第三者サ−ビス提供者に関するQ&A

 

Q:当事者Aが当事者Bに対して、共通のVAN事業者を経由してメッセ−ジを伝送するケ−スにおいて、当事者AとVAN事業者との間においては、メッセ−ジの蓄積転送の契約をし、当事者BとVAN事業者との間においては、当事者Aからのメッセ−ジを転送する前に、フォ−マット変換(re-formatted before transmission to B)をする契約がなされていたとした場合、VAN事業者が行ったフォ−マット変換の過程でエラ−が発生したとすれば、誰がその責任を負うことになるのか。
A:VAN事業者によるフォ−マット変換は、当事者Bからの委託により行われています。Bがコンピュ−タ処理をVAN事業者に外部委託した過程で発生したエラ−は、Bの社内のシステムで発生したものと同様に取り扱われることになるので、BはAに対して責任追求をすることはできません。
(フォ−マット変換をする前に起きたエラ−については、Aが責任を負うことになります。)

 

 

 

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